(5)ムーミンママのエプロン

子供たちが欲しがる夢のムーミングッズ、といえばムーミンハウスだろうか。サンタさんにお願いする子も多い。メインキャラクターのフィギュアや家の中の小物も揃っている。ムーミンにはまっていくうちにレアなキャラが欲しくなったら別売りのフィギュアもあるので、このあたりからコレクション人生が始まるといってもいいか。
孫がよく遊びに来るのでと、キャラクターの名前があいまいながらフィギュアを嬉しそうにせっせと集めていらっしゃる方も多い。そんなお客さんたちが一人話し始めると、「うちはね、うちはね」といつの間にかムーミンショップの中で孫自慢の一団ができあがったりする。

さて、そんなおばあちゃんたちが語ってくれる話をきいていると、フィギュアの使われ方はムーミンごっこに限らない。ちびっ子たちは身近な題材によるオリジナルストーリーの「ままごと」なごっこ遊びで楽しんでいたりするようだ。「この前は結婚式あげてたわよ。」なんていうのもあった。フィギュアをぞろぞろ参列者にして、祭壇と思しきところにはフィリヨンカさんが突っ立っていたらしい。神父にフィリヨンカって、3歳にしてキャラクターの性質を見事に把握しているようではありませんか。

子供はこんな「ごっこ」を楽しみ、大人だって負けてはいない。定期的に「ムーミンママのエプロンちょうだい」がやってくる。ない。そのようなものは商品になったことがない。けれども「絶対売っている」と思っている人が多いようだ。ムーミンママのイメージのある人にプレゼントしたくなってしまうものらしい。そういえば、ママのエプロンほどでないけど、今まで何人かに「スナフキンの帽子ありますか」とたずねられたこともある。

フィンランドではこの2年ほどコスプレを楽しむ若い子たちが急増している。小学生でも器用にミシンを使い、アニメのキャラクターに変身している。

そんなわけでムーミンママのエプロンは商品になっていないことをお詫びしながら、「お隣のマリメッコにそれらしい布があるかもしれませんね」と答えるようにしている。縞々といえばマリメッコだしね。

 

森下圭子

 

フィンレイソンで原画シリーズが続々登場。これは大きなバスタオル。タテ160cm。敷物としても使えるし、これ一枚で夏の海辺で読書昼寝のごろごろ三昧が楽しめそう。
今月のレアもの。ムーミンを手がけるずっと前のこと。若かりしトーベ・ヤンソンがバンケットホールのロビーに描いた天井画。ここにはさりげなくトーベ・ヤンソンの自画像も飾られている。