(78)夏休みのお楽しみ

5月も終わりに近づいてきたところで、突然やってきた真夏のような日々。夏休みまではもう少し時間があるものの、ヘルシンキの公園はピクニックする人たちで賑わい、海辺には日光浴にいそしむ人たちが集う。すっかり夏休み気分で、月曜日になったら仕事に行かなくちゃならないことが不自然でたまらない!という声もあちこちから聞こえてくる。

夏といえばムーミンファンなら待っていましたなのがムーミンワールド。今年は6月8日からのオープン。毎年ひとつテーマがあるのだけれど、去年のワイルドウエストから一変し、今年は「おばけかぼちゃ」だ。エンマ劇場での新作劇にもおばけかぼちゃが登場し、なんでもムーミンハウス近辺に注目だとか。

ムーミンワールドはムーミンたちと遊ぶのも至福の時なのだけれど、ムーミンワールドにやって来るお客さんたちがなんともいい。フィンランドでは小さな子供がいる家庭ならば一度は行くといわれるスポットなので、フィンランドの家族の様子がとてもよく伺える。お父さんも当たり前のように子育てに参加してきてるんだなという姿、おじいちゃんおばあちゃんが張り切りすぎて、途中どこかで静かに休んでいる姿、そしてなによりも子供が存分に子供の時代を生きている、子供たちののびのびした様子。すぐに危ないと叱ったりせず、微笑ましく子供たちの腕白ぷりを見守っているお母さんたちの姿もあちこちで見かける。途中でギャーギャー泣き叫ぶ子供がいたり、遊び疲れて眠りこけてしまい、お父さんが必死の形相で子供を抱えている様子なんかもある。ときに大喧嘩している人たちだって。そんな家族模様がとても素直に表にでていて、さして誰も気にしてないしというところにいると、なんだか気が楽になるのだ。

ムーミンワールドはムーミンたちだけでなく、そこにやってくる人たちまでもがムーミン谷の住人たちのようで、ベンチに腰掛けて一休みしていると、ふとムーミンの一節やどこかの場面が思い出されたりする。

そうそうお知らせがひとつ。現在ヘルシンキのムーミンショップは改装中のため、別の店舗でやっています。同じショッピングモール内の同じ階(Forumの2階)なのですが、いつもとは少し違うところにあります。お気をつけください。

森下圭子

読書は夏休みの過ごし方で、特に人気のひとつ。夏休み前に人に会うときの小さなプレゼントには「しおり」なんかもいい

このレシピブックは葉書にもなっている。一枚いちまいお似合いの人に夏のあいさつを添えて送ってみたり。ミイは誰に送ろうかな。