(44)にぎやかなムーミン

街にはポスター、店にはグッズ。この夏はいつも以上にムーミンを目にする。65周年はさすがに賑やかな様子だ。フィンランドの人たち同様しっかり夏休みをとる私は、北部の小さな村でのらりくらりと生活しているのだけれど、そんな私の生活圏内ですら、ムーミングッズがちょくちょく目に入る。Tシャツは子供だけじゃなくて大人にも、アラビアのマグはもちろん、フィンレイソンのタオルやらリネン類などが大型スーパーの目のつくところに並んでいるのだ。野菜や牛乳だけを買うつもりで店に入るのに、いろんなところでムーミングッズを目にするものだから、レジにもっていくかごの中にはムーミンのガムやらチョコレートまでがいつの間にやら入っている。そのうちタオルを手にしていても不思議ではない。

実は私、スティンキーのタオルが気に入っている。悪さを企んでいそうな表情のスティンキータオルを裏返すと、その絵柄は静かに目をつむったおだやかスティンキーになるのだ。これがかわいい。陽の沈まないラップランドの白夜ですっかり睡眠時間が短くなっているいま、これを枕元に布団をかぶればぐっすり眠れる気さえする。

それにしても大型スーパーでどのコーナーへ行っても商品があるなんて、ムーミンくらいじゃないだろうか。シャンプーや歯磨き、おむつ、紙皿、パーティーグッズ、食べ物、飲み物、バッグ、アクセサリー、インテリア、文房具、書籍、時計……そりゃあ全国どのお宅へ伺っても、一つくらいムーミングッズがあるって当然かもしれない。長い夏休みで7月にあれこれ新商品はでてきそうにないけれど、それでも今年にはいって日本を思わせるテンポで次々と新しいグッズが出てきたからか、この夏はお店の目につくところにムーミンが並ぶ。ああ65周年、なんだか本当におめでたい気分。

蚊の当たり年に加え、「蚊といえば」と有名なラップランドで蚊取り線香が品切れという憂き目にあった。気分を盛り上げるためにも、やっぱりこんどスティンキータオルを買おうかしら。
スティンキータオルのおもて

そして、うら

森下圭子

 

今年は仲良くムーミンワールドとシリヤラインが並んで広告。どちらも今年は65周年のお祝い気分。

ムーミンパパの…と呼ばれる灯台。自然保護区でもあるソーダーシャール島は野鳥のヒナたちが巣立つのを待ってからランチクルーズの定期運航が始まる。