Celebrating Tove Jansson's 100th Birthday

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  • New!!:筑摩書房から、『ムーミンを読む』『旅のスケッチ』などムーミン関連本やトーベの著作が
    続々刊行、復刊予定!(PDF)【更新日:2/13】
  • 徳間書店から、かわいいムーミン絵本が続々発売されます!(PDF)【更新日:1/17】
  • 講談社のムーミンの本はこちらのサイトでチェック!【更新日:1/17】
  • アフタヌーンティー・リビング、1月9日より100周年記念グッズ発売!(PDF)
  • トーベ・ヤンソン島暮らしのドキュメンタリーフィルムが北欧映画祭に!
  • ムーミン原画展リリースを公開!2014年4月全国巡回開始。(PDF)
  • トーベ・ヤンソンの回顧展が2014年10月、フィンランドから日本にやってくる!

 

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生まれながらの芸術家

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1944年 トーベのアトリエで

トーベ・ヤンソンは1914年8月9日、フィンランドの首都ヘルシンキにて、シグネ・ハンマルステン・ヤンソンとヴィクトル・ヤンソンの長女として生まれました。母はグラフィックアーティスト、父は彫刻家という芸術一家で、トーベと二人の弟、ペル・ウーロフ(1920年生)とラルス(1926年生)は、「まるで呼吸するように」芸術に親しんで育ちました。

父ヴィクトルはトーベの幼少時代から既にフィンランドでは著名な彫刻家でした。その作品は今日、ヘルシンキの中心にあるエスプラナーディ公園でも見ることができます。ただファインアーティストの常として、その収入は決して安定的なものではありませんでした。

代わって母シグネが、イラストレーター/商業デザイナーとしての収入で生計を立てていました。家計と生活の両方を支えながらいつでもおおらかな母と、しっかり者の妻のお陰で思うまま芸術を追求して生きることが出来た父の姿は、そのままムーミンママとムーミンパパに重なります。

ヤンソン一家は、フィンランド人の常として、毎年夏の数ヶ月を、自然豊かな郊外のサマーハウスで過ごしました。はじめは母方の祖父が住むストックホルム近郊の多島海に浮かぶ島で、1920年以降はフィンランドのペッリンゲ群島地域で。家族とともに天衣無縫に過ごした夏の日の幸せな記憶は、ムーミンの物語に色濃く反映されています。

幼い頃から芸術家を天命と考えていたトーベが、その長いキャリアをスタートしたのはわずか十五歳の時、雑誌やポストカードのイラストレーターとしてでした。プロとして収入を得ながら、十代後半はストックホルムで商業デザインを、ついでヘルシンキで美術を学び、二十代になると奨学金を得てはフランスやイタリアに渡って美術を学びました。帰国後は定期的に油彩画の個展を開く一方、イタリアで学んだフレスコ画の技法でヘルシンキ市庁舎をはじめ数多くの公共建築に壁画を描き、画家としての地位を築いていきました。

ムーミンとともに世界へ

トーベは「食べていくための仕事」と考えていた商業美術の世界でも頭角を表します。中でも風刺雑誌「GARM」では1933年以降メインのイラストレーターとして活躍し、第二次大戦中には独裁者たちを笑いのめす風刺画を量産しました。後にムーミンとして知られるようになる大きな鼻をした生きものが、初めて出版物に姿を表したのもこの雑誌。初めはトーベの署名の脇に小さく添えられた、「いつも怒っている醜い小さな生きもの」としてでした。

自身を画家と考えていた彼女が、その小さな生きものを主人公にした物語を書き始めたのは戦時中のことで、暗い現実からの「一種の逃避」だったといいます。戦後すぐの1945年、第一作『小さなトロールと大きな洪水』がひっそりと出版され、その後もこつこつと執筆を続けていました。1950年、第三作『たのしいムーミン一家』がいくつかの偶然に助けられ、英訳されイギリスで評判を得ました。そこから、彼女のキャリアを大きく左右する出来事が起こります。当時世界最大の発行部数を誇ったロンドンの夕刊紙「イブニングニュース」から、週六日の連載漫画のオファーを受けたのです。

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ムーミン・コミックスの連載開始を伝える『イブニングニュース』の宣伝車

1954年、鳴り物入りで連載が始まった漫画ムーミンはたちまち大人気となりました。その年のうちに早くもスウェーデン、デンマーク、そして母国フィンランドの新聞に、さらに最盛期には40カ国、120紙に転載されました。

漫画の人気はすでに五作を数えていた児童文学ムーミンも及びました。次々に各国語に翻訳され、人気と同時に高い評価を獲得。トーベは作家としての国際的な名声を不動のものとします。1966年には、児童文学における最高の栄誉とされるアンデルセン賞を受賞。今日、児童文学ムーミンは44もの言語に翻訳され、世代を超えて読み継がれています。

ムーミンの絶大な人気は、彼女の活躍の場を大きく広げました。キャラクターのライセンス供与が始まると、数多くの商品や販促物にグラフィックデザインを提供し、ムーミンの舞台化にあたっては作詞と舞台美術まで自ら手がけました。中でも彼女のテキスタイルデザインは今日も高く評価されています。

アート、人生、仕事、そして愛

漫画連載は一方、週6日掲載というハードワークと締め切りのプレッシャー、さらに加熱するムーミン人気に伴う様々な雑事(トーベはムーミンに関する様々な依頼をほとんど断らなかったといいます)によって、次第に彼女を疲弊させていきました。1959年、最初に交わした七年契約の満了とともに、彼女は漫画連載の仕事を下の弟であるラルス・ヤンソンに引き継ぎます。

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誕生日に夏の家の小島で泳ぐトーベ

1964年、トーベは後半生のパートナーであるグラフィックアーティスト、トゥーリッキ・ピエティラと二人で、ペッリンゲ群島沖にある小島、クルーブ・ハル(島)に小屋を立て始めます。そして翌65年から四半世紀の間、この電気もガスも湧き水も薪になる木すらもない小さな岩礁で、二人きりで毎夏を過ごしました。漫画連載がもたらした喧騒から遠く離れ、容赦の無い自然と向き合う暮らしの中で、以前にもまして意欲的に創作に取り組んだのです。

画家としては60年代から70年代に数多くの油彩画を制作し、五度の個展を開催。画風も変化し、抽象画に挑戦して新しい境地を開きました。また挿絵画家としてルイス・キャロルの『不思議の国のアリス』やトールキンの『ホビット』などの作品のスウェーデン語訳の挿絵も手がけています。

作家としての彼女にも変化が現れます。漫画連載中の1957年に発表した児童文学第六作『ムーミン谷の冬』をターニングポイントとして、連載終了後作風はより内省的になり、大人の読者を強く惹きつけるものになっていきました。1970年、最愛の母シグネを亡くした年に刊行された第九作『ムーミン谷の十一月』を最後に、トーベ・ヤンソンはついに作家としてのフィールドを、児童文学から大人向けの一般小説へと移します。70年代から80年代にかけてコンスタントに作品を発表し、1983年にはこれらの作品によりフィンランド国民文学賞を受賞しました。

1991年、体力の衰えから77歳でついにクルーブ・ハルを引き上げますが、その後もヘルシンキのアトリエで執筆活動を続けました。最後の本、短篇集『伝言(未邦訳)』を発表したのは1998年。その3年後に86歳で天寿を全うするまで、筆を置くことはありませんでした。

トーベはその長く並外れたキャリアを通じて、とても一人の仕事とは思えない幅と量の作品を遺しました。油彩画家であり、フレスコ画家であり、イラストレーター、風刺画家、児童文学作家、漫画家、絵本作家、作詞家、舞台美術家、商業デザイナー、そして小説家でもあった彼女の人生は、どんな時でもまず仕事ありきだったといいます。でもその仕事は日々の生活の中から生まれました。家族、友達、仕事仲間、愛した人々、彼女が経験した出来事が、時には明示的に時には暗示的に、あらゆる作品に現れています。彼女にとって、グラフィックアートと文学、芸術と人生、仕事と愛の間に境界線はなく、すべてはひとつだったのです。

 

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開催決定!トーベ・ヤンソン生誕100周年を記念する二つの美術展「生誕100周年 トーベ・ヤンソン展 -ムーミンを生んだ絵と暮らし(仮)」

トーベ・ヤンソン生誕100周年を記念して、フィンランドの国立美術館、ヘルシンキの「アテネウム美術館」で、過去最大の回顧展が開催されます。ムーミン・キャラクターズ社の強い後押しを受け、会期終了後、朝日新聞社がこの展覧会を日本に招致します。

ゲスト・キュレーターはフィンランドと同じく、元・フィンランド現代美術館長のトゥーラ・カルヤライネン氏。「トーベ・ヤンソン展」ではムーミンの原画はもちろん、初期作品や、児童文学作家・挿絵画家としてのほかの著名な業績も紹介。フィンランドが誇る芸術家としての全仕事を網羅します。彼女の世界観やライフスタイルにも焦点をあて、作家の全貌を初めて紹介する、初の本格的な美術展です。

■開催概要
会期・会場は予定です。変更となる可能性があります。

■会場案内(予定)
【横浜会場】 2014年10月23日(木)~11月30日(日) <横浜・そごう美術館>
【北海道会場】 2014年12月13日(土)~2015年2月15日(日) <北海道立帯広美術館※>
【新潟会場】 2015年2月28日(土)~5月6日(水・祝) <新潟県立万代島美術館>
【九州会場】 2015年5月23日(土)~7月5日(日) <北九州市立美術館分館>
【大阪会場】 2015年7月25日(土)~9月27日(日) <大阪・あべのハルカス美術館>

※ 北海道会場の主催は展覧会実行委員会(北海道立帯広美術館、十勝毎日新聞社ほか)です

主催: 朝日新聞社ほか

フィンランドのタンペレ市立美術館に、トーベ・ヤンソン自身が生前寄贈したムーミンの原画・習作から、 約150点の日本初公開を含む作品200余点を展示するかつてない規模のムーミンの原画展です。

「ムーミン童話に見る自然」をテーマに会場は構成され、人形作家谷口千代さんが制作した 人形が名場面を再現するムーミン谷の立体模型(ジオラマ)も必見です。 また生誕100周年記念商品や、展覧会オリジナル限定品が揃うショップも併設します。

2014年4月16日~5月6日(予定)の銀座松屋特設会場を皮切りに、米 子、札幌、広島、米沢、大阪、宮崎、岡山、名古屋など全国各地を巡回予定。