(85)あの島のクリスマス

mittalusikat

計量スプーン。子供たちがお手伝いを楽しくするために?いえいえ、大人たちが自分のために買っていくのです。

トーベが夏を過ごしたペッリンゲ。この群島地域に通年で暮らす人は270人ほど。それでも島にはお店があり、予約制のレストランがあり、ヘルシンキでも有名な魚屋さんがある。夏に羊を放牧しているとある小さな島ではクリスマスツリーが育てられていて、そこのツリーは有名だ。クリスマス市で買ったツリーを乗せた車が家路を急いでずらりと並んでいる姿なんて本当におかしいのよという。どうしてもそんな光景が見たくなり、島のクリスマス市に向かった。

クリスマス市には周辺の町や、首都からもやってくる人たちが大勢いた。島のあちこちで……小さな公民館で、島の小さな食料品店、夏に賑わう船着広場の市場、そして首都でも人気の魚屋さん……あちこちでクリスマス市をやっていた。

うなぎの燻製がクリスマスの食卓に欠かせないとか、砂糖漬けのチェリーを加えたフルーツケーキとか、それまで他のところで聞いたことがなかったクリスマスの習慣がある。でもそんな中で一番驚いたのは、サンタクロースの棲家だ。フィンランドではラップランドのコルヴァトゥントゥリ(直訳すると「耳の山」)にいると一般的には言われている。ところがこの島ではなんでも屋さんの向かいの廃墟に住んでいるというのだ。そこから子供の様子を見ていたり、子供の欲しいものに耳を澄ませたりする。クリスマスが近くなると店にはサンタさんへのポストができて、お願いごとを書いた子がそこに投函する。お店の人もプレゼントする人もその手紙を読んで、品物を発注しておこうというわけだ。サンタさんがご近所さんだなんて、微笑ましい。

クリスマス市の日。お店の向かいをみてみたら、廃墟がかわいらしく飾り付けられていた。茶目っ気たっぷりでブランコする小人、ひと休みする小人、ただ突っ立ってるだけの小人、サンタさんのお手伝いをする小人たちがあちこちにちりばめられていた。どきどきするんだろうなあ。

今回は島の人たちの手工芸品が売られていた公民館。実はかつてトーベ・ヤンソンが読み聞かせしてくれていたところでもある。

クリスマスを前に、フィンランド放送のアーカイブからトーベ・ヤンソンの『ムーミン谷の冬』の朗読が紹介された。そのリンク(こちら)をご紹介しながらメリークリスマス!良いお年をお迎えください。

(2014年のトーベ・ヤンソン生誕100年を記念して、他の作品の朗読も次々リリースされていく予定です)

森下圭子

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島ではここにサンタクロースが住んでいるといわれている

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