(99)暮らしの中のムーミン

hammastahna
あるお宅で見つけた「小さな孫たち用の歯磨きセット」。ひとりひとり別の歯磨きチューブを選ばせてあげているあたり、おばあちゃんらしい愛情ですね。

 

フィンランドの首都ヘルシンキにあるデザインミュージアムの新しい特別展は子供のための北欧デザインの100年がテーマ。家具や遊具に加えて学校や公園などの公共デザイン、ファッションや玩具、さらに児童文学まで、子供の日常をとりまくあらゆるデザインにフォーカスを当てている。

ムーミンは、もちろん登場している。北欧の子供たちのための文学としては長くつ下のピッピとベスコフの絵本に並んで紹介されている。フィンランドのみならず、ムーミンは北欧の子供たちに欠かせないのだ。

ムーミンは童話から始まっている分、キャラクターグッズとして商品化されても、その絵柄の背後には多くの物語がある。キャラクターの性格についても文学的背景があるため、奥行きがある。

例えばアラビアのムーミンマグ。ある方のお宅にお呼ばれしたとき、ずらりと並ぶ何十ものムーミンマグの中から「自分にぴったりの一つを選んで!」と言われた。初対面の人たちもいたのだけれど、何を選んだかで、なんとなくその人のことが分かるようだし、お互い選んだ理由などを話し始めると、一気に距離が縮まる気がした。

仕事でお世話になった精神病院の看護師さんたちの休憩室。なんとムーミンマグだらけなのだ。壁にはムーミンマグの写真が並び、別の壁にはキャラクターについての解説が、看護師さんの名前とともに並ぶ。実はこれ、同僚たちがプレゼントしているのだそうだ。誰かが何か新しい資格を取ったお祝いに、同僚たちでどのキャラクターか考え、その人にぴったりのキャラクターのムーミンマグをプレゼントしているのだという。

ミイが多いのかなと思いきや、意外とバランスよくいろんなキャラクターが並んでいた。トゥーティッキな看護師さん、ヘムレンさんな看護師さん、ムーミンパパな看護師さん、いろいろいて楽しい。そしてそれぞれのキャラクターを看護師にしても「あり」と思わせるところも何だかいい。

フィンランドでは街を歩いていてキャラクターグッズを持ち歩いている人を見かけることはあまりない。そういう文化があまり根付いていないからだろう。街ですれ違う人たちのことを考えると、ムーミングッズ目撃率は日本のほうが高いと思う。でもフィンランドの人たちの暮らしに一歩踏み込むと、そこにはムーミンたちがいて、さらに日常を楽しく演出してくれていたりするのだ。

デザインミュージアムの特別展
http://www.designmuseum.fi/en/exhibitions/the-century-of-the-child/

森下圭子

soderskar
ムーミンパパの灯台の島のモデルといわれるソーダーシャール。その灯台が売りに出され、新しいオーナーで新たなスタートを切ることになりました。