(117)新しいムーミンアニメ

2019年に放送開始予定のムーミンアニメ。今の段階でコンセプトアートは完成。夏の風景など、これから順次コンセプトアートが発表される予定。

つい先日フィンランド放送(YLE、フィンランドの公共放送)が、2019年放映開始予定の新ムーミンアニメ放映権を獲得したというニュースが報じられた。

ムーミンのアニメといえば、日本では一般に昭和ムーミン、平成ムーミンと呼ばれる日本制作のシリーズがあるけれど、フィンランドでアニメといえばこの平成ムーミン。YLEで最近まで繰り返し放送されていた平成のシリーズは、HDリマスター版が翻訳と声優を一新し、フィンランドの民放で放送されるようになった。声優の変更に抵抗のある人は多く、反対の声があちこちであがりネット上で議論になったほど、平成ムーミンの人気は根強い。

「ムーミンの原作はフィンランドで生まれましたが、私たちはあのアニメで育ったし、ムーミンといえば原作よりも先にあのアニメを思い出す人も多いのです。だから、日本のムーミンアニメはしっかりと根底で受け継いでと思っています」と話してくれたのは、新アニメで総指揮をとるエグゼクティブ・プロデューサーでクリエイティブ・ディレクターのマリカ・マカロフ。ただし、今の新しい技術を使いながらいいものを作ろうとしたら、人口550万人ほどのフィンランドだけでやることは、金銭的にも無理だ。さらに今ムーミンを必要としている人たちは世界じゅうにいるのだからということで、マリカは最初から国際的な作品にすることにした。

フィンランドやスウェーデンのドラマに詳しい人たちは、ムーミンアニメでマリカの名前を見て驚いているのではと思う。彼女、実はフィンランドやスウェーデンの人気ドラマの敏腕プロデューサーとして業界ではよく知られているのだ。30になって間もなくフィンランドのドラマ制作・番組配給会社のCEOになり、次々とドラマをヒットさせたあと、スウェーデンに移った。脚本も手がけ、彼女の手がける作品は、国際的にも注目された。その彼女が、改めてムーミンこそ、いま私たちが見直すべき作品だと思ったのだ。

だれを監督にするか、各国の仕事仲間から候補をあげてもらった中で一人、特にひっかかった人物がいた。イギリスのスティーブ・ボックスだ。電話をしてみると「ムーミン?いま目の前にあるよ」という。本棚にいつもある、大好きな本なのだそうだ。なんだか運命的である。実は日本の昭和ムーミンもそうだった。プロデューサーから打診を受けた監督のおおすみ正秋さんも、ムーミントロールの声を担当した岸田今日子さんも、声がかかる前に既にムーミンを読んでいたのだという。

アニメだけれど、子供にも大人にも響く作品を。脚本はアニメのプロとドラマのプロで手がける。技術もトーベ・ヤンソンの絵の空気感を残そうと、最新の技術を駆使しながらも、昔ながらの技術を残し、そこに絵画的な余韻を残す。拠点をフィンランドとイギリスにおいて、脚本は英語で制作される新アニメ。クラウドファンディングで一部の制作費用を一般から募集するというスタイルもこの時代らしい。クラウドファンディングの募集はあと数日。サポート内容の中にはすでに売り切れているものも。詳細は次のサイトで(日本語訳あり)ご覧いただけます。

https://www.indiegogo.com/projects/moomin-animation–3#/

森下圭子



先月お伝えしたムーミン美術館とアラビアのムーミンマグ。最初に提案したのは美術館でもアラビア社でもなく、タンペレ市の市長特別補佐官だった。行政!しかもおじさんが!と驚いたのですが、その言いだしっぺのミッコさん。柔軟な発想の持ち主で、市庁舎だけでなく美術館のスタッフたちにも愛されているおじさんでした。