フィリフヨンカ
フィリフヨンカも種族の名前で、ムーミンの物語には何人かのフィリフヨンカが登場します。代表的なのは、小説『ムーミン谷の夏まつり』でムーミントロールが出会う若いフィリフヨンカのむすめ、小説『ムーミン谷の十一月』でムーミンやしきを訪ねてくるフィリフヨンカなど。たいていは女性で、襟の詰まった赤いドレスと先っちょに鈴のついた赤い帽子がトレードマークです。
フィリフヨンカ族の多くは、秩序にこだわる、原則主義者。掃除が好きで、持ち物はいつも清潔に整頓されていますが、古いものを捨てられずに溜め込んでしまうので、家がすっきりしているわけではないようです。
なんでもきっちりと、昔からのしきたりどおりにこなすことを重要視するあまり、自分の本当の幸せを見失うことがあります。いつもと違うことが起きたときには苦々しく思い、また何も起きなくても、近々おそろしいことが起きるかもしれない、という不安に苦しめられます。また、いったん秩序が乱されてしまうと、一気にふっきれて、暴走することもあります。
フィリフヨンカは驚きやすく、物事を大げさに受け止める傾向があり、ちょっとしたことにでもすぐに気が滅入ってしまいます。どうあるべきか、という考え方に縛られがちなフィリフヨンカは、心の中では、自由に生きるムーミン一家を羨ましく思っているのかもしれません。