火をふく山の話
皆さんこんにちは、ビビりの森番です。今月になって、ハワイのキラウエア火山噴火のニュースが連日、伝えられていますね。地震・雷・火事・親父?など、どれももれなく苦手な森番は、黒くてドロドロとした溶岩と血のように噴き出すマグマの映像がテレビで流れる度に、一人ソワソワしています。。。つい先日のニュースでも、飛び散った溶岩が足にかかって島の住人の一人が重傷を負い、また海へと流れ出た溶岩は海水と混じり合い化学反応を起こして、有毒ガスを発生しだしたとのこと。大気汚染による健康被害も、懸念されているそうです。青い海と白い砂浜が美しいハワイの自然に、まさかこれほどまでの激しい一面があるとは思いもよりませんでした。。。
ところで皆さんは、そんな火山というものがムーミン谷にもあるということをご存知でしたか? 『ムーミン谷の夏まつり』(講談社/下村隆一訳)には、まさに噴火しだしたばかりのムーミン谷の火山の様子が描かれます。ようやく夏がやってきたムーミン谷。そんなさ中、空からいきなり黒い大きなすすが落ちてきて、ムーミンママは火山が噴火しはじめたことを知ります。
『「( 前略 ) この近くの山が、火をふきだしはじめたの。すすもね。わたしが結婚してからは、ずっとおとなしくしてたのに、いまになってさ。(中略)また山がくしゃみをしだしたのよ。みんな、まっ黒になっちゃう・・・・・・。」』
ムーミンママの話から知る限り、ムーミン谷の火をふく山は定期的に噴火を繰り返しているもよう。そして物語中ではこの火をふく山の噴火がきっかけで、ムーミン谷は大洪水に見舞われてしまいます。一方『ムーミン谷の彗星』(講談社/下村隆一訳)では、まだムーミンたちと出逢ったばかりの頃のスナフキンが「火をふく山」について話をする場面が。
『「( 前略 ) 昼も夜も、溶岩の下でゴトゴト音がしてるんだ。それは、溶岩の下でねむってる地球が、ときどきねがえりするからさ。( 前略 ) この世のものとは思えないほどすごいながめだったよ。( 後略 )」』
ムーミンたちに何か面白い話をしてと頼まれて、旅で訪れた火をふく山について熱く語りだすスナフキン。ストリーテラーとしての才能を存分に発揮します。
『「(前略) どこもかしこも、ぐつぐつわきたっていて、いきものも青い草も、ひとつも見えなかったね。下でねむっていた大地が、きゅうに目をさましたんだ。(後略)」』
見た事も聞いたこともない火をふく山についての話に、すっかり興味津々のムーミンとスニフ。さすがはスナフキンの話に、どんどんと引き込まれていきます。そしてついに目の前で山が火を噴いた時のことを、ススナフキンはこう振り返るのです。
『「( 前略 ) すごくきれいだったよ。大地の中から、火の精がわんさかとまいあがって、火花のようにどびまわるのが見えたよ。」』
毎年冬が始まると旅に出て世界をまわり、春になるとムーミン谷に帰ってくるスナフキンは、何でも知っていて、本当に年齢不詳です。それに比べると若いムーミンたちは、年かさのムーミンママやムーミンパパと違って火山の噴火を経験するのは初めてに見えますね。
ハワイ島をドライブしたことのある新金庫番です。今回キラウエア火山が噴火したハワイ島は、ハワイの中でも最も若い島で、島の端っこには、常にマグマが海に流れ出ている場所がありました。日本の新島、西之島のように、常に活動を続け育っている赤ちゃんなのですね。
一方、ご存知の方もおられると思いますが、フィンランドには火山がありません。そのため、サウナが大好きなフィンランド人ですが、国内に高い山や熱い温泉はなく、日本に来ると、サウナよろしく、よろこんで裸になって温泉めぐりを堪能してくれます。北欧エリアで唯一火山を有する国、アイスランドでは(もちろん温泉もあるそうです)、トーべがこの作品を世に出すよりも7年ほど前に、ヘクラという火山が噴火しています。そして、アイスランドでは噴火や溶岩による熱で氷河が融けるので、洪水も起きやすいようです。そんなことも、トーベの記憶にあったのでしょうか。
でも、どのお話の中でも、今にも噴火しそうな火山を前にして「なるべくすずしい場所をえらんで、お茶をのんだ」スナフキンや、洪水で流されている家の屋根でもお茶の準備を怠らないムーミンママなど、天変地異にも動じないムーミン谷の人々は、いつも予想もしなかった楽しい展開で、自分たちの人生を取り戻します。
ハワイ島の火山活動で避難している人たちも、できるだけ早く、落ち着いた生活を取り戻せますように!
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