クリスマスツリーのてっぺんに飾ったのは?
新しく始まりました「ムーミンクイズ~めざせ、ムーミン博士~」。出題と解説を担当させていただくのは、小学生のときにテレビで昭和版アニメ『ムーミン』(フジテレビ系)の再放送を見て、ムーミン童話を読んで以来、えーっと40年ぐらいでしょうか(遠い目)、ムーミンの世界にどっぷり、家にはグッズがどっさり、ライターの萩原まみです。いっしょにもっともっとムーミンに詳しくなりましょう! どうぞよろしくお願いいたします。
さて、記念すべき第1回は、短編集『ムーミン谷の仲間たち』収録の「もみの木」(講談社刊/山室静訳)からの問題です。
小説ではムーミンたちは寒い冬の間、ぐっすり眠って過ごすのが習わし。当然、クリスマスのことも知りません。ところがある年、ぬくぬくと冬眠していたムーミンたちは、ヘムルに起こされてしまいます。「クリスマスはもう、あしたにもやってくるんだぞ!」と言われ、どうやらこわい人がくるらしいと勘違い。
大きなもみの木を用意して、「きれいなものでかざるの。できるったけきれいにね」と、小さなはい虫から教わって、みんなで飾りつけにとりかかります。
では、クリスマスツリーのいちばんのてっぺんに、ムーミンたちが飾ったものとはいったいなんでしょうか?
このエピソードは平成アニメ『楽しいムーミン一家』やパペットアニメ映画『ムーミン谷とウィンターワンダーランド』でも印象的に描かれています。オルゴールツリーなどのグッズにもなっていますから、知っている!という方も多いのでは?
……答えは、赤いばらの花。簡単すぎる~と言われてしまいそうですが、初回ですし、クリスマス大サービスです☆
では、もう少し詳しく、その赤いばら、どんなものかご存知ですか? ずっと昔にムーミンパパがムーミンママに贈った、絹でできた品なんです。
もっと難しい問題じゃないとつまらない!という方は、ほかにムーミンたちがツリーに飾ったものを挙げてみてください(答えは後ほど)。
小さなはい虫たちが、ムーミン一家の美しいツリーを見に集まってきました。夜が更けても、クリスマスさんは現れません。待ちくたびれたムーミンたちは、プレゼントもごちそうも全部、はい虫たちにあげることにしました。
そして家に戻ると、ドアに鍵をかけ、テーブルの下に隠れたのです。でも、なんにも起こりません。こわごわ窓からのぞいてみると、小さな者たちが楽しそうにやっているのが見えました。はい虫のおじさんは「あのてっぺんに星があるといいんだがなあ」と言いましたが、別のはい虫が赤いばらを見つめながら、「考えさえ正しけりゃ、それはあってもなくてもたいしてちがいはないんじゃないですか」と答えました。
空を見上げると、一面に輝く星々。なかでもいちばん大きな星が、ツリーのちょうど真上で光っていました。
ムーミンの原作者トーベ・ヤンソンは、冬の慣習を知らないムーミン一家の奮闘ぶりをユーモラスに描くと同時に、信教や宗派にとらわれず、人が人を思いやる特別な夜としてクリスマスを表現しようとしたのではないでしょうか。
ムーミンたちはツリーを、花壇を囲む貝がら、スノークのおじょうさんの貝がらの首かざり、応接間のシャンデリアのプリズムなどで飾った、と文章には書かれています。挿絵には、犬や帆船、手鏡、釣りの浮き、シルクハットなども描かれていますね。
もしもあなたがムーミンたちみたいにツリーを飾りたい!と思ったら、赤いばらや貝がらを探す必要はありません。自分がきれいだと感じるものを、好きなように飾ればOK。それがムーミン流であり、このクイズの本当の答えなのかもしれません。
それでは皆さま、Happy Holidays&(少し早いですが)よいお年を!
萩原まみ