2020年はムーミン75周年!
あけましておめでとうございます。
2020年といえば東京オリンピック!ですが、今年は最初のムーミン童話が発表されてから75周年の記念の年でもあります。どんな1年になるのか、期待に胸が膨らみますね。ムーミン75周年についてはこららのサイトにて最新情報をお伝えしていますので、ぜひ併せてご覧ください!
昨年2019年は、新作アニメ『ムーミン谷のなかまたち』が放映開始、日本では3月にムーミンバレーパークがオープンするなど、新しい大きな出来事の続いた1年でした。
今年2020年は、言うなれば原点回帰。昨年からリニューアルが始まった原作小説シリーズがいよいよ全巻揃います。
アニメもテーマパークもキャラクターグッズも、トーベ・ヤンソンが描いたムーミンの原作があったからこそ、生まれたもの。ムーミンのすべての絵には背景となる物語があり、ムーミンのキャラクターのひとりひとりには強い個性があります。原作を知ればもっともっとムーミンが身近になって、今までよりずっと深く楽しめるはず。
その大きな助けになるのが、刊行中の新版です。新版はソフトカバーで、手になじむサイズ。表紙はフィンランド最新版と同じデザインで、挿絵も美しく高精細に甦りました。また、訳は原文により忠実に、読みやすい言葉遣いにリフレッシュされています。昨年、『ムーミン谷の彗星』から4巻まで刊行され、2020年 2月25日に『ムーミン谷の冬』、4月末に『ムーミン谷の仲間たち』、7月末に『ムーミンパパ海へいく』、9月末に『ムーミン谷の十一月』、10月下旬に『小さなトロールと大きな洪水』が発売予定。1年を通して、ずっとお楽しみが続きますね!
さて、今回は新版好評発売中の『ムーミン谷の夏まつり』のなかから、今年の干支、ねずみにまつわるお話をご紹介しましょう。洪水に流されそうになったはつかねずみの親子。おかみさんは「母さんの時代には、こんなことなんか一回も起こらなかったよ!」と自然界の気まぐれに腹を立て、ムーミン一家が家具を屋根の上に出して乾かしたり、屋根に旗を立てたりするのを見て、「まったくお気楽なもんだよ」と言います。そして、いっしょにムーミンやしきに行こうというホムサの誘いには「いやだよ、あたしたちにゃ、用はないね、あんなやかましい家族なんか!」ときっぱり。
このねずみたちによく似た姿は、ちょうど75年前に出版された第1作『小さなトロールと大きな洪水』にも登場します。物語の終盤、やはり洪水に家を流されて、木の上に避難したものたちのなかに大きな耳と長いしっぽを持ったねずみらしき姿が。ほかのお話にも、ねずみのような生きものは挿絵の片隅にちょこちょこ顔を見せています。ぜひ、探してみてくださいね。
片隅、といえば、コミックスでムーミンに寄り添っているこのキャラクターも、ねずみだってご存じでしたか? ティーティ=ウーとよく似ているので、はい虫だと思われがちなのですが、『ムーミンキャラクター図鑑』によると彼らはねずみに分類されています。
ソフス?と思った方も多いかもしれませんが、実はお腹が白いのはソフスのいとこ。コミックスにはお腹が白い子や顔だけ黒い子、全身真っ白な子など、何種類かのねずみが出てきます。でも、名前があるのは全身真っ黒のソフス(英語ではシャドー)だけ。
『ひとりぼっちのムーミン』収録の「ムーミン谷への遠い道のり」で、お腹の白いねずみがいとこのソフスに役割を引き継ぐシーンが描かれます。このエピソードは『劇場版ムーミン 南の海で楽しいバカンス』にも登場していましたね。
ねずみのような小さな動物まで、生き生きと描かれるムーミンの物語。挿絵の細部、ねずみや名もなき小さな生きものたちに注目して再読すると、また違う見え方があるかもしれません。
ムーミン公式サイトでは今年も、知られざるエピソードやキャラクターにまつわる小ネタ、イベントやグッズの最新情報など、ムーミンについてのさまざまな事柄をお伝えしていきます。ムーミン75周年の記念すべき1年、ぜひみんなで盛り上げていきましょう! 2020年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
萩原まみ