スナフキンのママのおばさんからのプレゼント

 ホワイトデーにもぴったり。フィンランド「ノードクヴィスト社」のムーミンフレーバーティー(ムーミンマーケット2018限定商品


幼馴染の○○子ちゃんは甘いもの好きだからクッキーを、ムーミン好きのご近所の○○姉さんにはムーミングッズを、会社の気になる○○ちゃんにはお花のブーケをプレゼントしちゃおうかな~♡♡

お待たせしました!またまた登場、今からホワイトデーのお返しを考えるのに大忙し、自称モテモテの森番です♪ このバージョンの森番が登場するのは、たしかバレンタインデーの回以来でしたかね!?先週のポニーテールの話題では、危うく変態な一面が露呈しそうになりましたが、そろそろここら辺でスノークのおじょうさんに対するムーミンのように、正真正銘の紳士であることを証明しておきたいところです。そのためにもこのホワイトデーという絶好の機会、逃すわけにはいきません!
プレゼントとは一言でいえど、相手のことを考えてどんな贈り物をするかで、その印象も大分変わってきますね。そしてそういう部分も含めて、プレゼントをする側の腕の見せ所といったところでしょうか。ホワイトデーはバレンタインデーのお返し日とは言っても、バレンタインデーにはチョコレートを贈るといったような、明確にこれをプレゼントするというものが決まっているわけでもなく、今年は何にしようかと頭を悩ませている殿方も多いかもしれません。。。

『ムーミン谷の仲間たち』(講談社/山室静訳)「スニフとセドリックのこと」には、そんな贈り物についてのある素敵なエピソードがあります。なんとムーミン物語内でお馴染の、美しい音を奏でるあのスナフキンのハーモニカを本人にプレゼントしたという、スナフキンのママのおばさんという人物が登場するのです。スナフキンはそのおばさんのことを次のように言います。

「その人は、うつくしいものたちを愛して、一生それらのものをあつめてきた。それをよりわけ、みがきたてて、いよいようつくしく見えるようにした。じっさい、この人の家に足をふみこむと、だれでもじぶんの目が信じられなかったくらいだったってさ。」

独身で、子供もいなかったスナフキンのママのおばさんは、自分の好きなモノに囲まれた悠々自適の生活を送っていました。ところがある日、カツレツの大きな骨を飲み込んで具合が悪くなってしまったおばさんは、医者からまさかの余命宣告を受けます。ところが、ここからがスナフキンのママのおばさんの凄いところ。死ぬと分かったが最後、そんな天国まで持っていけないものに囲まれていても仕方がないと、生涯かけてコレクションしてきた宝物を全部、人にあげることにしたのです(恐るべし!スナフキン一家の断捨離DNA~。 by 新金庫番)。スナフキンは言います。

「おばさんはそこにすわって、だれになにをやろうかと考えているあいだ、ずいぶんたのしい思いをしたんだものな。」
「それであの人は、ひとりひとり、あの男の人はなにがいちばんすきだろうか、あの女の人にはなにがいいだろうなと、みんなの人のことを考えたのさ。それはまあ、たのしいあそびみたいだったそうだよ。」

スナフキンのママのおばさんは、そんな自分の宝物をただプレゼントするだけではなく、相手のことを一人一人よく考えて、誰に何をあげるかを決めていったのです。

「そうしてあの人は、ばかじゃなかったね。ぼくにはこのハーモニカをくれたんだもの。これが金とローズウッド(かおりのいい木)でできてるってことは、きみはたぶん知らないだろう。そうなんだよ。あの人はだれもがその人にいちばんぴったりしたしなもの、その人がゆめに見るようなしなものが手にはいるように、とてもうまあく考えたんだぜ。」

これは本当に素敵なお話ですね。そして何より旅と音楽を愛するスナフキンのために、金とローズウッドで出来たハーモニカをあげる辺りが、さすがです。スナフキンが「あの人はばかじゃなかった」と言う通り、その人に一番合ったプレゼントをするというのは、実はかなり知性を求められることなんだと思います。
まずはプレゼントを贈る相手の性格や趣向を正しく把握する能力、その上で自分が用意できるモノの内から一番適切なものを一つだけ選び抜く能力。こういうバランス感覚が非常に大事になってきますね。ましてや相手が夢にまで見るようなプレゼントなんて、人生にそう何度も出来ることではありません。そういう点において、このおばさんには大変な才能があったのでしょう。もしかするとこの才能はおばさんが長年、美しいモノを集め、手入れをし、囲まれた生活をしていく中で培われた、センスとでも言うべきものだったかもしれません。

いずれにしても、そんな夢にまで見るようなプレゼントを貰ったスナフキンは、ハーモニカを吹きながらそのローズウッドの薫りを感じる度に、きっとその叔母さんの顔を思い出したことでしょうね。私たちも一生に一度でいいから、相手が夢にまで見るようなプレゼントを、大切な人に贈ってみたいものですね。

今週はホワイトデーに因んで贈り物をテーマに、スナフキンのママのおばさんの素敵なプレゼントについてご紹介させていただきましたが、いかがでしたでしょうか?(新金庫番も、誰かにプレゼントをあげると、いつもとても喜ばれるのよ~。あっ、今年のホワイトデー、自らハードルをあげてしまった。。by 新金庫番)
うふふ、カツレツの骨が引っかかってしまい、具合が悪かったスナフキンのママのおばさんは、最後には結局「おもしろいお話をきいてあんまりひどくわらったもので、おなかからあのほねがとびだして、すっかりなおっちまった」んですって。(だから、まんざら、素敵なものを与えてくれる人だけが大事なわけでもなくって、くだらないことを言ったりやったりして、笑わせてくれる人も、人生には必要ってことかしらね?!確かに、大笑いしたら、カツレツの骨でも、いやなことでも、飛んでいっちゃいそう。みなさまも良い週末をお過ごしください!では、また来週まで、アディオ~ス!by 新金庫番)