(28)ムーミン、日本へ
ムーミンの取材に合わせて修復作業をというのを見せていただいた。日本で始まる大きなムーミン展に向けて、展示される1点1点を丁寧にきれいにしてあげている、そんな作業だった。
まず綿棒をちょっとだけ水につけ、インクの上をそっとなぞってインクの質を確かめるのだそうだ。私が見せてもらったのは黒のペン画。かれこれムーミンの修復をするようになって5年になるその担当者が驚いていた。この5年で初めて水ににじむインクに出会ったらしい。彼女はいつもとは違う緊張に身構えて、いつもと違う汚れとり作業を開始したようだった。トーベ・ヤンソンの絵は親指の爪ほどの大きさの絵をポスターにしても、何の遜色もないほど丁寧に描かれている。拡大すると絵の特徴が、さらにはっきりするほどだ。定規では測れないくらいの緻密な隙間で並ぶ線の一本一本はつぶれることなく、拡大すると、それぞれに込められた豊かな表情が鮮明になってくる。
丁寧に汚れをとってもらったムーミン画の数々が、まとめて積み上げられていた。真新しい額に納められた姿は日本への旅立ちを楽しそうに待ち受けているようにもみえる。
3月から始まる日本でのムーミン展では数多くの絵と一緒に、立体模型がお目見えする。これまでムーミン谷博物館で小さな子供たちの目を釘付けにし続けてきた立体模型だ。服の生地、髪の毛に使っている素材、石や貝や枝など自然の中で見つけてた小物、どれもこれも眺めているだけで、これを作ったトゥーリッキ・ピエティラの遊び心やこだわりが伝わってきて、見ているだけで表情も緩んでニコニコしてきてしまう。ときにトーベ・ヤンソンが発泡スチロールにムーミンのお腹のラインをささっと描いてあげたり、小物の細部にまで絵を描き込んでいったりする。ふと何気に見始めてはずなのに、気づくとあっという間に1時間2時間と時間が過ぎてしまっている。私の周囲にはこのムーミン立体模型が大好きな人も多い。
立体模型を含めたムーミン作品が日本に向かうと同時に、フィンランドのムーミン谷博物館では新しいテーマ展の準備が進んでいる。次のテーマは「踊ろう!」。そういえばトーベはダンス好きだったらしい。
森下圭子
お盆の種類がどんどん増えてきています。新しいシリーズはソファのサイドテーブルにもなりそうなタイプ。丸盆もあり。
日本ではお馴染みの形でも、フィンランドでは新鮮な形のエコバッグ。こちらは本当にお店にでたばかりですが、この新しさですぐに人気商品になりました。