(45)ムーミンで浮かれる季節

学校では新しい1年が始まった。鉛筆やノートなど、学校で使うものは備品すら学校で支給してくれるフィンランドだけど、やっぱりお気に入りの鉛筆やノートで勉強したい。ノとういことで熱心に、そして浮かれながらも慎重に文房具を選ぶ子供たちを見ていると、なんだか私までつられてしまう。どこをどうみても、どこをどう切り取っても初々しさのかけらすら見当たらない、そんな私ではあるけれどムーミン文具は楽しい。

ムーミンワールドの夏も終わり、こんどは首都の番。街のあちこちでムーミンが賑やかになるのがこの時期だ。今年の8月はムーミン3D映画が大いに盛り上げてくれた。北欧初の3D!ということも、そして「あのロード・オブ・ザ・リングの依頼を断ったビョークがムーミンの歌は快諾!」とメディアはうれしそうに書きたてている。ビョークがフィンランドにやってきた、ビョークがトーベの夏の島クルーヴハルに行ったとか、メディアの浮かれようは新入生たちを越えていたかもしれない。

そしてイッタラも賑やか。新商品のほかに多くの人が待ち望んでいた陶器のムーミンフィギュアがついに帰ってきた。ムーミンの陶器はトーベ・ヤンソンのママ、ハムにはじまり、その後トゥーリッキ・ピエティラが手がけたものが登場。トゥーリッキ版が多くの人たちの知っているムーミンの陶器だと思う。「帰ってきた」とはいうものの、こんどの陶器フィギュアを手がけたのはムーミンマグのデザインをずっと手がけてきているトーベ・スロッテだ。イッタラのショップはどこもショーウィンドウがムーミンマグを基調にして、カルティオなど色を合わせた商品の組み合わせコーディネートで飾られている。これが街行く人たちの楽しい撮影スポットになっていたりもするほど魅力的なのだ。

夏の終わりはいつも少し寂しい。でも、いつも以上にムーミンが賑やかで、今年は少し浮かれて心はずませながら秋を迎えられそうな気がする。森にきのこでも探しにいくか。

森下圭子

 

ムーミンショップ限定。ムーミンショップのサンナ店長はモランが好きだとか。

最近は商品のシリーズ化がさかん。缶もマグも、そして堰を切ったようにぬいぐるみの種類がここのところグングン増えている。