(42)大人のムーミン

フィンランドの5月1日は春を祝うようにピクニックを楽しむ。天気が悪くても寒くても、この日は外で祝いたい。そして5月1日のヘルシンキの街はたくさんの風船で賑やかだ。いろんな人気キャラクターの風船を持つ子供、子供、子供、そしてたまに大人も。そんな5月1日の昼下がりにバーの前を通りかかったら、バーの中でムーミンの風船がぷかぷか浮いているのが見えた。

「わ!ムーミン!」などと友達とはしゃいでいたら、バーの前で煙草を吸っていた男性が「おう、あれは俺のなんだよ」と誇らしげに応えてきた。ムーミン風船を選んだことでモテモテらしい。ムーミングッズのラインナップに大人向けが増え、確実にムーミンが大人の間でも語られる存在になっているんだと思うと嬉しい。15年前はアニメのムーミンが主流で「子供のもの」と片付けられることが多かったから。いまやムーミンはモテグッズ?フィンランドではムーミンが頼りになるらしい。

大人がムーミングッズに興味をもってくれると、大人向けグッズの豊富な日本のムーミン事情が話題にのぼりやすくなる。言葉が分からなくても、ネットから見つけてくることはいくらでもできるらしく、日本で発売される新商品をリアルタイムで把握している人たちも少なくはない。皆さん、私より日本の商品に詳しい。

個人的な話になるけれど、実は久しぶりに日本に一時帰国する。そんなことをムーミン好きに話すと、出てくる出てくるムーミンの話。カフェがあるんだよとか、ムーミンの商品がならぶお店を知っていたり、東京に行ったことがなくてもこんなに詳しくなれるんだっていうくらいに詳しい。放っておいたら地図までプリントアウトして渡されそうな勢いだった。そうか…ちょっと行ってみようかしら。「ムーミンの国からわざわざ一時帰国してムーミン?」という気がしないでもないのだけれど、それくらい日本のムーミンスポットはフィンランドのムーミンファンたちにとって特別なことなのです。とっても。

森下圭子

 

環境にやさしいという記念年のテーマに合わせて竹素材のぬいぐるみ。なんだろう、この味わい深さ。

木のマグネットシリーズがキーリングに。