ヘルシンキ空港のムーミンショップ、 最後の「ムーミン」の物語を巡る旅【本国サイトのブログから】

ヘルシンキ空港にできた、新しいムーミンショップには、楽しいしかけがたくさんあります。ヘルシンキ・ヴァンター空港のシェンゲン協定加盟国エリアにある、新しいフラッグシップショップは、「ムーミン」シリーズの最後の作品である絵本『ムーミン谷へのふしぎな旅』(原題は『The Dangerous Journey』1977年刊)からインスピレーションを受けて作られていて、まるで絵本の世界に迷い込んだような世界観が楽しめるんですよ。

『ムーミン谷へのふしぎな旅』は、毎日同じことの繰り返しに飽き飽きしていたスサンナが、突然現れた新しい不思議な眼鏡をかけて、まったく違う世界に迷い込んでしまうという物語です。スサンナはヘムレンさんやスニフそしてトフスランとビフスランに出会い、さかさまに飛ぶ鳥の下や、噴煙を上げる火山、心が折れそうなほどの吹雪などを通り抜け、一緒に魔法の世界を旅します。
そして危機一髪のところで、気球に乗ったトゥーティッキに助けられ、ムーミン谷にたどり着き、ムーミン一家とその仲間たちはいつものようにパーティーを始めたのです。

ヘルシンキ空港に新しくオープンしたムーミンショップに足を踏み入れると、この『ムーミン谷へのふしぎな旅』の中に飛び込んだような気持ちになれることでしょう。入口の近くにはニョロニョロの群れがいて、頭上にはムーミン谷へ向かうスサンナと仲間たちを乗せた気球が浮かんでいます。

現在、ヘルシンキ空港にはシェンゲンエリア外、シェンゲンエリア内に2つのムーミンショップがあります。
「ムーミングッズを探している多くの観光客や旅行者のために、両方のエリアに出店することは、私たちにとって重要なことでした。コアなムーミンファンにも、ムーミンに興味を持ちはじめたばかりの新規のファンにも、新しい魅力的な核となる場所を作りたかったのです。ここは単なるショップではなく、トーベ・ヤンソンの物語に入り込み、ムーミンを知ることができる場所となっています。」と、ムーミン・キャラクターズの販売ディレクター、ヨーナス・フォースは語ります。

未知なる場所を探検し、その旅路で新しい友だちができる、わくわくする気持ちは、ムーミンの物語のテーマでもあり、ヘルシンキ空港にやってくる多くの人々が抱く気持ちでもあるでしょう。これから旅立つ人、または旅から戻ってきた人たちは、まさにこのムーミンの冒険の世界に浸ることができるのです。

トーベ・ヤンソンによる「ムーミン」シリーズの最後の物語にインスパイアされたインテリア

フィンランドにあるムーミンショップはすべて、建物の特徴やインテリアカラーなどがムーミンの本をモチーフにデザインされていて、訪れた人が物語の世界に迷い込めるように作られています。
この新しいショップのモチーフは、1977年に出版された、「ムーミン」シリーズの最後の物語『ムーミン谷へのふしぎな旅』。
この絵本の色彩と豊かな自然の描写が、ユニークなイラストと呼応しながら店内を彩っています。見上げれば鳥が飛び交い、沼地やマングローブの森の神秘的な自然を感じられることでしょう。

ショップデザインは、最近ヘルシンキのエスプラナーディにオープンしたばかりのムーミンショップを手がけた室内建築家、カロラ・リッツォラ社が手がけました。
「『ムーミン谷へのふしぎな旅』は、冒険に飛び込んで、力を合わせて困難に立ち向かう物語。私たちは、未知の世界に足を踏み入れる神秘的な感じと、わくわくする気持ちを表現したかったのです。
はっきり物語と関連している要素がありますよ。店内の配色は、絵本の表紙絵の色使いから取られています。絵本に登場する気球がエントランスの上を飛び、店内には垂直や逆さまに鳥が飛んでいます。まさに絵本と同じように、 多くのことが逆さまだったり、ちょっと“変”だったりしているんです」
インテリアのいたる部分が、物語のフィルターを通して表現されています。
「床は山の岩を模していて、中央部分の天井と木はマングローブの森と茂った葉をイメージしています。レジと什器は山からインスピレーションを得ています」とカローラは解説します。
「この構造物の名前は "カンタレッリ"といいます。カンタレッリは、アンズダケというキノコのこと。レジの後ろにある壁のシルクライトはこのカンタレッリの形をしていて、店内の木のてっぺんもカンタレッリのカサに似ているんですよ」

このムーミンショップは、シェンゲン協定加盟国の旅行者を対象に、毎日午前5時から午後9時まで営業しています。ショップへの入店には航空券が必要です。

白夜の くれなずむ 藍色が 深まると、 スサンナが いいました。
「おなごりおしいのですが、 あたしも ネコも、 おいとましなくては」

そして、 ふと、 思ったのです。
(ふしぎな 旅だったわ・・・・・・。
ぜんぶ、 ほんとうだったのかしら?)

でも、 ほんとうでも ほんとうでなくっても、
そんなの どっちだって いいことなのです。・・・・・・よね?
『ムーミン谷へのふしぎな旅』(トーベ・ヤンソン/作・絵 渡部翠/訳 講談社)より

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翻訳/内山さつき