「劇場版ムーミン」公開で、グザヴィエ監督にインタビューしました!

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『劇場版ムーミン 南の海で楽しいバカンス』は、ムーミンアニメでは初の、フィンランド制作による劇場版長編。
2015年2月13日(金)より、TOHOシネマズ六本木ヒルズほか、全国TOHOシネマズ、イオンシネマなどで続々ロードショー!

封切に先がけ、プレミアに来日したグザヴィエ・ピカルド監督にお聞きしました~!
どんな意図を持って劇場版ムーミンが作られたのか?!記事を読んでから映画を観るか、それとも、観てから読むかは、貴方しだいです~!

Q:「監督が、最初にこの映画の原作の連載漫画「ムーミン・コミックス」とであったのはいつですか?」
グザヴィエ監督: 「最初にムーミンに出会ったのは日本で、1990年の事でした。そのころ日本に来ると本屋さんに行って、アート本とか、日本のアニメ関係の本とか、その他 にもいろんな関係の物を買って帰ってたんです。宮崎駿のストーリーボードとかがそのまま売ってたりしてすごかったんですけど、そんなとき、ムーミンの本に 出会いました。それは映画の原作にもなった連載コミックではなかったような、たぶんイラスト入りの本だったと思うんですけど。それがすごく素敵だな、人物像も キレイだなって思って、持って帰って調べてみたらムーミンだったんです。それがイギリスで出版されていることがわかって、イギリスの物を、子供用の物と か、ムーミン・コミックスとかを買って、でもフランス語に訳されてなかったので、英語の物を取り寄せて読んでました。」

Q:「今回のアニメ化に当たり、留意した点は?」
グザヴィエ監督:「原作コミックスを映画化するには色々な苦労があって、一つはコミックスの読者が映画を見たとき、「そのまま」だって思わせるようにしなければならない。そのためにはそのまま(コミックイラストを映画に)持っていっても、そのままにはならない。印象は同じになるように気を遣いつつも、色々細かい変化を施しているのです。
人物像もそうです。コミックのままの人物像だとアニメにできないので、動かすことができるように動いた時の姿勢なども作っていかなければいけない。
背景も同様で、コミックのコマには、背景は決してたくさんは描かれていない。たとえばホテルなんかもほとんど描かれてないんですけれど、そこから始まって、ホテルの全様から想像して作っていかなければいけないんです。それも、「これはまるで見たことがある」ような姿で、ホテルとか中のホールとかを作っていかなければならない。私はそれを考古学的な作業と呼んでいるんですけれど、出てきた一部の破片から全体を作り上げる、足りない部分を全部想像して作り上げる作業っていうのがすごく大変なのです。ましてや白黒ですから、色を付けるっていうことになると、トーベ・ヤンソンの色合いでもなく、日本のアニメの色合いでもない独特の色合いを探す必要があります。そしてかつ、観たときにコミックスを見てるみたいだっていう色合いを見つけるのに、とても苦労しました。」

Q:「今回のアニメでは、数年前にハミラ監督と、試作版を作って、フィンランドでソフィア・ヤンソン(作者トーベ・ヤンソンの姪で、ムーミンキャラクターズ社会長)に見せたところ、じきに製作が決まったとお聞きしています。そこから完成するまでのあいだに、大きく設定が変わったりしたことはあったのでしょうか。」
グザヴィエ監督:「大 きな違いはないですね。細かい違いはあります。パイロットを作った時点でストーリーボードはできていましたし、物語もいれこんでいましたし、動きもありま したし、アニメの人物もできてたし、色もモノクロで、水平線を書き入れないっていうのもやってたし、色んなテクスチャーとかもでてたし。あと、大きいもの では、色の調整とかはやりましたけども、ムーミン自体の色って、トレーラーの時は、もう少し黄色掛かってたかなって思うんですけど、少し白っぽくしたりとか、人物の影を入れたとか、そういう芸術的な調整だけです。だから、そんなに大きくはかわってないですね。

Q:「オープニング・クレジットの間流れる、ムーミン谷の景色にスナフキンが登場するアニメがとても素敵ですね。観始めのそのシーンで、泣いてしまったというファンもいらっしゃるようですが、あの冒頭にはどのような意味をこめましたか。」
グザヴィエ監督:「あ そこは、ムーミン谷を知らない人にムーミン谷を見ていただこうと思って作った画面なんですね。ムーミンの原作を見ても、ほとんどムーミン谷の画はないんで すよ。だから背景の資料というものあまり無い中で、全部作り上げなくてはならなかったんです。ムーミン谷がどんな風なのかっていうのを全部作り上げて、人 物像を歩かせて、ムーミンの家まで行かせなくちゃいけないと。でもムーミンの事は、まだ誰も知らないでしょっていう前提で始まっていますから、それでスナ フキンに登場してもらったのです。スナフキンは割とみんなが知ってる登場人物だし、中立的な人物ですから。
また、あそこの画面では実は、映画全部 に踏襲している非常に藝術的なこだわりっていうのがあって、色の感じをグラデーションにして、少しずつグラデーションが迫ってくるような感じを出している んですね。それはほかの画面でもあるんですけれど、そこから始まっていて、一つの色を選んでいって、すっごく微妙な色合いでグラデーションしていくってい うのを最初の画面から使って、それでムーミン谷の雰囲気を作っています。

※泣いた方がいるという話に対しての反応
グザヴィエ監督:「フランスでも同じことが起こっています。たぶん感動してみんな泣いてるんですよね。音楽もきれいですし。珍しく、美しくって涙が出たって誰かが言ってたんですよ。だからフランス人もそう思うんですね。」