2025年は巳年&ムーミン80周年!【ムーミン春夏秋冬】
あけましておめでとうございます。
いよいよ2025年、ムーミン80周年の幕開けです。最新情報はこちらのMOOMIN80特設ページでどんどん更新していきますので、どうぞお楽しみに!
毎年、干支にまつわるお話からスタートしているブログ「ムーミン春夏秋冬」。2025年の干支である巳(ヘビ)、実は80年前に発表された最初のムーミン小説『小さなトロールと大きな洪水』に登場しているってご存知でしたか?
小説の恐ろしい大ヘビ
物語の冒頭、ムーミンママとムーミントロールはいなくなってしまったムーミンパパを探して旅をしています。ふたりが出会った小さなスニフは沼に近づくのを嫌がりました。沼には大ヘビが住んでいるというのです。
ムーミントロールは勇敢なそぶりを見せますが、足をつるりとすべらせて、沼に落っこちそうになってしまいました。ムーミンママは丸くて大きなハスの葉でボートをこしらえ、しっぽをオール代わりにして、沼を渡ることに。ところが、暗闇からシューシューと音がしたか思うと、葉っぱのボートがぐらぐらゆれはじめました……!
挿絵は黒地に白線で描かれていて、右半分に舌をヒラヒラさせた大ヘビ、ムーミンたちは左下で身を寄せ合っています。ムーミンママのサイズはヘビの目より小さく、いかにヘビが大きいかが伝わってきます。
ムーミンたちはどうなってしまうのか、ぜひ本を開いて、お話の続きと挿絵をご覧ください。
80周年を記念して作られたこちらのムービーでも、ヘビの姿をちらりと見ることができますよ。
コミックスの怖くないヘビ
一方、イヤーズマグやアルファベットコレクションマグのWなど、グッズで見かけるヘビの絵は、コミックス「ジャングルになったムーミン谷」(ムーミン・コミックス第3巻『ムーミン、海へいく』収録)から採られています。
まるで熱帯のような暑さに見舞われ、ジャングルと化したムーミン谷を盛り上げようと、いたずら好きのスティンキーは動物園からトラやサイを解放。ところが予想に反して、ムーミンたちは危険なはずの野生動物たちとも仲良くなってしまいました。この場面は、ムーミンアラビアのサマーマグ「ガーデンパーティー」でもおなじみですね。
もっと大きな騒ぎを期待していたスティンキーは、ムーミンたちのしっぽに噛みつくよう大ヘビをけしかけます。
スティンキーに誘導されるまま、沼に浮かんだスイレンの花に乗るムーミントロールとスノークのおじょうさん。忍び寄る大ヘビ……!
泳いで逃げようとするムーミンたちの前に現れたのは、脱走した動物たちを探す動物園の船でした。なんと、彼らはムーミンたちをカバと間違えて、オリに入れようとします。動物園はイヤだ!と意見が一致した大ヘビと共に、一目散でムーミンやしきへ!
ムーミンやしきはまさに80周年のテーマである“The door is always open”、おっかない大ヘビだって受け入れます。大きな体をタイルトスーブに潜り込ませ、隠れようとしますが……。
わくわくする展開で、アニメ作品でも人気のこのエピソード。なんとヘビのぬいぐるみもロングセラーなんですよ。
ヘビを探してみよう!
他にも、個性的なヘビの仲間たちの姿を見つけることができます。
たとえば、短編集『ムーミン谷の仲間たち』収録の「静かなのが好きなヘムレンさん」には、先ほどのコミックスとよく似た挿絵が。
これはタイルストーブに入り込んだボアヘビ。
同短編集収録の「ぞっとする話」に出てくるのは、想像力豊かなホムサが思い浮かべてしまったどろへび。
こちらはコミックス「ムーミンパパの灯台守」(ムーミン・コミックス第1巻『黄金のしっぽ』収録) に出てくる大海蛇です。
コミックス「タイムマシンでワイルドウェスト」(ムーミン・コミックス第2巻『あこがれの遠い土地』収録)には小さなヘビを水でっぽうでびっくりさせる場面が。
2025年をムーミンといっしょに!
トーベ・ヤンソンが最初のムーミン小説を世に送り出してから80年。トーベの誕生から数えると、その歴史は111年。
もうトーベによる新しい本を読むことはかなわないものの、アニメ『ムーミン谷のなかまたち』やポップアップ絵本『ムーミン谷へのながいたび』のように新しい形で生まれ変わることもあります。
今回はヘビを切り口にご紹介しましたが、いつでも誰でも、さまざまな角度から楽しむことができるムーミンの世界。気になるキャラクターの出てくるエピソードを集めるもよし、ムーミンバレーパークのアトラクションの原作を深堀りするもよし、グッズに使われている絵を探すもよし。長くムーミンを担当してきた編集者の横川浩子さんによる「ムーミン谷の物語案内」からも新しい視点が得られるのではないかと思いますし、ブログでもそのお手伝いができればいいなと願っています。
ムーミン80周年の2025年が皆さんにとって、ムーミンをより近く深く感じるきっかけに満ちた素晴らしい1年になりますように!
文/萩原まみ(text by Mami Hagiwara)