一部無料公開へ! ムーミン屋敷の秘密
11月の第5金曜日は「ムーミン春夏秋冬」番外編として、ムーミンバレーパークの旬な情報を深堀りしてお伝えします。うれしい最新情報も飛び込んできましたので、ぜひ最後までお読みくださいね。さて、今回取り上げるのは、ムーミンのお話において重要な役割を果たし、ムーミンバレーパーク最大の見どころのひとつでもあるムーミン屋敷。それはただの家ではなく、キャラクター紹介にもピックアップされているほどの存在感で、キャラクターグッズのモチーフとしても人気なんです。東京スカイツリータウン・ソラマチにはその名もムーミンハウスカフェがありますし、自分だけのムーミンやしきを作れる「ムーミンハウスをつくる」なんてキットも発売されています。
ムーミンやしきが初めて小説に登場するのは、第1作の『小さなトロールと大きな洪水』のエンディングです。ムーミンパパがみずからの手で家族のために建てた大きな家は、一度は洪水で流されてしまったのですが、美しい谷間に流れ着いていたのをムーミンたちが発見。一家とスニフはそのまま新しい生活を始め、そこがムーミン谷と呼ばれるようになりました。
でも、ムーミンやしきがはっきりと描かれた挿絵は、実はそんなに多くありません。ムーミンやしきといえば、青い壁に赤い屋根というイメージですが、絵本『それからどうなるの?』ではご覧のとおり、白い壁に赤いレンガ、屋根は太陽に照らされて黄色に輝いています。文章での描写にもいくつか(いくつも?)の矛盾やはっきりしない点があって、アニメやグッズ、テーマパークなどで再現する際にはそれぞれに検証を重ね、独自の解釈でムーミンやしきを作り上げています。この地図に載っているのはトーベが描いたムーミンやしきの見取り図ですが、この段階では二階建てのようですし、そのまま再現するとなると、かなり面積の広い平べったい家になってしまいそう(笑)。タンペレのムーミン美術館にある、トーベとパートナーのトゥーリッキ・ピエティラ、友人のベンッティ・エイストラが作った大きなムーミンやしき模型もまた自由な発想で作られていて、筒状の円形ではなく、四角い形をしています。その模型をトーベの弟ペル・ウーロフが撮影し、トーベがストーリーをつけたのが『ムーミンやしきはひみつのにおい』という写真絵本です。
ナーンタリのムーミンワールドにあるムーミンやしきは、平成アニメ『楽しいムーミン一家』の設定をベースに人間サイズに作られたもので、子供たちがのびのびと遊べるようなゆったりとした空間が広がっています。Blu-ray/DVD予約販売好評受付中の新作アニメ『ムーミン谷のなかまたち』では、最先端の技術で細かく描き込まれ、ムーミンやしきってこんなふうになっていたのか!と新たな発見も。
では、ムーミンバレーパークのムーミン屋敷はどうなっているのでしょうか。まず、小説日本語版の表記は「ムーミンやしき」と平仮名ですが、ムーミンバレーパークでは「ムーミン屋敷」、フィンランド語で「Muumitalo(ムーミタロ)」と呼ばれています。ムーミンバレーパークを訪れた人はみんな、シンボルとも言える赤い屋根に青い壁の大きな建物の写真を撮ることでしょう。でも、オープン当初は建物内部に入るにはガイドツアーのチケットが必要で、とても人気が高かったため、ムーミンバレパークには行ったけれどムーミン屋敷には入れなかったという声も聞かれました。原作を丁寧に検証し、細かく作り込まれた屋敷の内部には壊れやすい展示物もあり、いっぺんに多くの人が入場すると、かえってゆっくり見ることができなくなってしまいます。ムーミンにそんなに詳しくない人にとっては、ガイドさんの説明を聞くことで、ムーミンの物語への理解がより深まりますし、ふだんは隠れているもの(ムーミントロールがベッドの下に隠している箱とか、ムーミンママのハンドバッグの中身とか)を見せてくれたり、特別な仕掛けを披露してくれたりすることも。
写真も交えて、内部の様子をご紹介していきましょう。ガイドツアーのチケットはwebや園内の券売機で買うことができます。時間になったら、ムーミン屋敷の前に集合! 参加者はムーミン谷にやってきた旅人さんという設定で、ムーミン屋敷に招き入れられます。これは1階の壁に飾られているムーミンたちの写真。1階のテーブル。さっきまでムーミンたちが食事をしていたかのよう! 調度品の多くはフィンランドの蚤の市やヴィンテージショップで見つけてきたものなのだとか。キッチンを覗くのもお忘れなく! 時間によってはヤカンから湯気が出ていることもあるらしいですよ。各部屋にはとてもリアルなタイルストーブが! さぁ、階段を上って2階へ。2階に上るとご先祖さまの肖像画がお出迎え。じーっと見ていると、何か起こるかも!? その下のキャビネットには『ムーミン谷の冬』に登場する小さなキャラクターの姿が。こちらはムーミンパパとムーミンママの寝室。タンスの中にはふたりの着替え、ベッドの上にはママの大切なハンドバッグが! きっとママはすぐ近くにいるに違いありません。ドレッサーやお裁縫道具、絵、床のラグなど、ムーミンママの好きそうなものが散りばめられています。これは誰の部屋でしょう? そう、ムーミントロールです。うみうまの絵、灯台の模型、水着、リュックサック、そして窓辺にいるのは……(この写真でははっきり写っていないので、ぜひご自分の目で確かめてください)。3階のゲストルームにはスノークのおじょうさんが滞在中のようです。水着に手鏡、かわいらしいものがいっぱいです。いちばん上の屋根裏部屋はムーミンパパの書斎。上ることはできませんが、潜望鏡を使って眺めることができます。ときには、ガイドさんがスペシャルな光景を見せてくれることも! このスーツケースは誰のものでしたっけ!? 開けると何が起こるのかな?地下室も、天井から扉の奥まで、見どころがいっぱい! ひそひそ声に耳を澄ませ、小さな足跡を辿ってみましょう。隅々まで細かな仕掛けが施されたムーミン屋敷。子どもたちだけでなく、北欧インテリアやヴィンテージが好きな大人も時間を忘れて夢中になってしまいます。毎回、ガイドさんが説明してくれる箇所が違ったり、新しいことに気づいたりするので、何度でも楽しめるんです。今回ご紹介した以外にも、ちびのミイ(リトルミイ)のお部屋があったり、各フロアにかわいいテーブルがあったり。逆に言うと、一度ですべてを見ることはできないので、今回ご紹介した内容が見られない場合もありますので、ぜひ何回も足を運んでみてください。気になる場所があったらガイドさんに気軽に話しかけてみましょう。きっと、いろいろと詳しく教えてくれますよ。さて、最後にうれしいお知らせ! ムーミンバレーパークでは明日11月30日から冬季限定イベント「WINTER WONDERLAND in MOOMIN VALLEY PARK(ウィンターワンダーランド イン ムーミンバレーパーク)」が始まります。それに合わせ、イベント期間限定で、夕方17時から1000円(こども500円)で入園できる「ナイトチケット」と、2800円(こども1800円)で入園とアトラクションがセットになった「1デーパス」が登場! さらに、ムーミン屋敷の地下と1階はいつでも誰でも自由に見ることができるようになりました! 2階と3階に上るには今までどおりガイドツアーの整理券が必要ですが、1デーパスならその料金も含まれていますし、「海のオーケストラ号」などのアトラクション(「飛行おにのジップライン」除く)にも入場できて、昼も夜も1日中、思いっきり満喫できます。夜のイルミネーションやパークの雰囲気、食事やショッピングだけをちょっと楽しみたいときには割安なナイトチケットがおすすめです。平日は駐車場も無料でますます身近になったムーミンバレーパーク、目的に合ったお得なチケットを選んで、初めての冬を思いっきり楽しみたいですね!
萩原まみ(文と写真)