2019年は亥年!
あけましておめでとうございます。
2019年の幕開けを祝って、新しいブログ「ムーミン春夏秋冬」をお届けします! 季節や時候にぴったりのエピソード、挿絵、キャラクターなどをピックアップ。繰り返し読めば読むほど新しい発見のあるムーミンの物語を、また違った角度から知っていただくひとつのきっかけになればさいわいです。
さて、2019年の干支は亥。日本郵便株式会社の年賀状にもイノシシの絵が使われています。
そこで今回は、亥年にちなんで、イノシシが登場するムーミン・コミックス「Moomin's Desert Island」をクローズアップしてみました。日本語版は、ムーミン・コミックス『魔法のカエルとおとぎの国』(筑摩書房 / 冨原眞弓訳) 収録の「おさびし島のご先祖さま」。あらすじは「おさびし島のご先祖さまと花火」でもご紹介しています。
冒険が大好きなムーミン一家、ヘリコプターに乗って遠出に出発しますが、嵐に巻き込まれて、おさびし島に不時着してしまいます。ムーミンママが真っ先に心配したのは、みんなの食事。いつも肌身離さず持っているハンドバッグに入っていたパウダーを目くらましに、自分より大きなイノシシに立ち向かい、見事に倒します。
実は、このエピソードには現在の日本語版には収録されていないコマがあります。
ムーミンママが倒したイノシシに、ハンドバッグから取り出した塩をかけ、丸焼きにする場面。
さらに、みんなでおいしく食事をした後、ママが「もしもイノシシに奥さんがいたらどうしよう」と後悔の涙を流していると、奥さんイノシシが登場! ムーミンたちは海に突き落とされてしまいます。
「旦那さんを食べてしまってごめんなさい」と謝ると、奥さんイノシシは「まぁ、彼はすごく退屈な夫だったからね。でも、骨は埋めてやってちょうだい」と許してくれました。
カットされているコマは、なかなかにワイルドかつダーク。ムーミンといえばほんわか癒し系~というイメージをお持ちの方にとってはちょっとショックだったかもしれませんが、トーベ・ヤンソンは風刺画家やウィットにとんだムーミン以外の小説の書き手としても活躍した人物ですから、ピリッと辛口スパイスを効かせるのはお手のもの。大人になってムーミンシリーズを読み返してみると、子どもの頃は気づかなかった皮肉や奥深さに驚かされる、なんて声もよく耳にします。
お正月休みはコタツでのんびりという方、またはご旅行の移動中に、「おさびし島のご先祖さま」を読んでみてはいかがでしょう。持ち歩きに適した文庫版『ムーミン・コミックス セレクション2 ムーミン一家のふしぎな旅」(筑摩書房)にも収録されていますよ。
次回からブログ「ムーミン春夏秋冬」は毎月第1金曜日に更新いたします。ムーミン公式サイトでは、皆さまにもっともっと楽しんでいただけるよう、パワーアップ&リニューアルを予定しています。本年もどうぞよろしくお願いいたします!
萩原まみ
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