(136)ムーミン男子

フィギュア付き絵本。ページにくぼみがあり、そこにフィギュアをはめてパズルのようにも遊べる。

ヘルシンキのムーミンカフェ第一号店が閉店になるということで、ついにすべてのムーミンカフェがなくなるのかと思いきや、一店舗ではあるものの、営業を続けるという嬉しいお知らせがあった。マーケット広場や大聖堂から徒歩5分ほどのところにある店舗で、私の一番好きなムーミンカフェでもあった。

 ここで働く青年が、とにかくムーミンが大好きなんだろうなあというのが溢れ出ている人で、手描きのムーミンをメニューに添えたり、心を込めて描いた味のあるムーミンやミイのラテアートが施されている。お客さんの傍にムーミンたちのぬいぐるみを置いていくのもこの店舗だけ。彼が自主的にやっていることだった。
 ムーミン愛で次々とアイデアを出して、精いっぱいのおもてなしを考えている。何よりも、彼はいつだって楽しそうにしている。
 若い男性がムーミン愛かあ…初めて会ったときには貴重な存在!と思ったのだけれど、でも見回すと、ムーミンの仕事をしている男性がどんどん増えている。しかもムーミンが好きだという。

 先月、おしゃれに敏感な若い子たちに人気のアパレルブランド「マキア」がムーミンとのコラボ商品を出した。しかも男性のラインのみ。
 発表から一週間ほどして、私は本店を覗いてみた。あらゆる商品が品薄とか売り切れではないか。たったの一週間で、だ。私が個人的に欲しくなったスウェットのパーカーは、もう2XLサイズをひとつ残すのみだった。フィンランドの男性の2XLはいくらなんでもと思ったけれども、追加販売はないという。店員さんに「大きいのは、こうやって袖を折れば、またかわいい着こなしになるから!」とか言われ、試着してみたら、まんまとその気になってしまい買ってしまった。

 マキアの予想をはるかに上回る勢いで売れた。ムーミンが好きで、ついに自分たちのテイストにも合うムーミングッズが出た!という感じだろうか。これまでムーミンの服や身に着けるものといえば、奥さんや彼女がプレゼントとして購入するというケースばかりだったけれど、デザインひとつでこんなことになるんだ。ムーミン男子は侮れない。
 マキアは12月にTシャツのみ追加販売する予定。ムーミンとのコラボ第二弾は春に登場することになっている。こんどは発売日初日を目指そう。繰り返すけれど、フィンランドのムーミン男子は侮れないのだ。

ヘルシンキにあるムーミンカフェについてはこちらをご参考ください(フェイスブックページ)

マキアのムーミンラインはこちら

森下圭子

ニョロニョロのメレンゲ。運が良ければムーミンカフェにある(いつでもある訳ではないのがフィンランドらしいというか)。