ムーミンたちとお茶を【ムーミン春夏秋冬】
本日5月5日はこどもの日ですが、ちょっと先取り! 14日の母の日にちなんで、ムーミンママが主役の新デザインシリーズMoominmamma’s Tea partyでもクローズアップされているティーパーティー=お茶会に注目してみたいと思います。
このシリーズはグッズ、限定メニュー、ノベルティなど、多角的に展開、新しい情報がどんどんアップされています。大人っぽくて明るいデザインは、ギフトはもちろんですが、自分へのご褒美にもぴったりですね。
ママのための大パーティー
では、ムーミンママが開くお茶会といえば、どんな情景が思い浮かびますか?
ムーミン谷史上最大のパーティー、小説『たのしいムーミン一家』の大団円の場面でしょうか(詳しくは「ムーミン谷の秋のJuhla=お祝い」もご参照を)。
このパーティーはムーミンママが開いたのではなく、ムーミンママのために催されたもの。
とはいえ、ムーミンママは自分でパンケーキを焼くなど、かいがいしくおもてなしをしています。
いつも休みなく働いているイメージのムーミンママですが、苦手な家事もありますし、お昼寝をしたり、庭いじりやお絵描きで気分転換したりと、息抜き上手。
ムーミンママを見習うのであれば、なんでもがんばるのではなく、むしろがんばりすぎないところをお手本にするとよいのではないかと思います。
ムーミンママについてもっと詳しく知りたくなったら、昨年のブログ「母の日によせて、ムーミンママのこと」もぜひどうぞ。
ママが開くお茶会
さて、そんなムーミンママは、日々のお茶の時間をとても大切にしています。
たとえば、小説『ムーミン谷の夏まつり』。
洪水でムーミンやしきが水没、流れてきた大きな家(劇場)に移り住むと、ムーミンママはすぐさま夕方のお茶の支度を始めます。
大きな居間はよそよそしく、天井はなんだか変てこ。食べ物部屋だと思ったところで見つけたジャムは石膏細工で、りんごは木製でした。
それでもムーミンママは動じず、こんなふうに呟きます。
「わけのわからないことだらけね。でも本当は、なんでもいつも同じようにあると思うほうが、おかしいのかもしれないわ」
(新版『ムーミン谷の夏まつり』/講談社刊/下村隆一訳/畑中麻紀翻訳編集)
そして、「まあ、とにかくお茶を飲みましょう」と、みんなのティーカップにお茶をつぎます。
ちょうどそのとき、暗がりから誰かの笑い声が響きました。
ためらいながらも、未知の相手に声をかけるムーミンママ。
「あなたも、お茶をおあがりになりません?」(同)
みんなでお茶を囲むひとときの重要性、家族や仲間だけでなく誰でも受け入れるムーミンたちの寛容さが伝わってくるような場面です。
島のお誕生会
『ムーミンパパ海へいく』にも印象的なお茶会のエピソードがあります。
灯台の島に移住したムーミン一家は、無愛想で変わり者の漁師と知り合いました。
さまざまな苦労を重ね、厳しい島暮しにも少し慣れて、ママが灯台を「うち」と呼ぶようになった、物語終盤。
ムーミンママは漁師の誕生日を知って、パーティーを企画します。ところが、漁師は灯台を怖がって、寄りつこうとしません。
そこでママはみずから招待に出向きました。
誕生パーティーをきっかけに、漁師の正体が明らかに……。
この線画が美しい挿絵は、アラビアの「トゥルートゥーイッツオリジン」マグにも使われています。
動物たちのガーデンパーティー
ムーミンのお話には、日常のご飯、ピクニック、パーティーなどがたびたび登場します。
2023年のアラビアサマーマグ2023「ガーデンパーティー」のように、コミックスのひとコマとしてさらりと描かれていることも。
よく見ると、ムーミンママとムーミンパパが腰掛けているのはトラ! 花瓶からはサルが覗いています。
元になったコミックス「ジャングルになったムーミン谷」の原画と商品には細かな違いがあるので、ぜひ見比べてみてください。
フィリフヨンカのお茶会
実は、ティーパーティー=お茶会というキーワードから、パッと浮かんだのは、短編『この世のおわりにおびえるフィリフヨンカ』(『ムーミン谷の仲間たち』収録)のフィリフヨンカの姿でした。
ガフサを招待したフィリフヨンカがお茶のテーブルを整えたり、お菓子を用意したり、いそいそと準備をする様子が繊細に描写されています。
このお話はブログ「この世のおわり、そんな不安を感じたら」でも詳しくご紹介しました。
お茶会の結末は……原作を読んでみてくださいね。
さまざまなお茶の時間
また、設定や性格が大きく異なるため、小説とは別のフィリフヨンカの可能性が高いのですが、コミックス「ふしぎなごっこ遊び」にはフィリフヨンカとムーミンママがそれぞれ企画したホームパーティーが出てきます。
きれい好きで几帳面なフィリフヨンカと、自由気ままなムーミンママはとても対照的。
あなたが近い/共感するのはどちらでしょうか?
この時期、大型連休や土日もお仕事だったり、こどもの日も母の日も無縁だったり、新生活になじめなくて気が晴れないなんて方もいらっしゃることでしょう。
忙しいときこそ、お茶で一息ついたり、ムーミンの世界に触れたりして、気分転換をしてみてくださいね。
文/萩原まみ(text by Mami Hagiwara)