ムーミン谷の赤ちゃんと子どもたち【ムーミン春夏秋冬】
新年度、新学期が始まる4月。今回のブログ「ムーミン春夏秋冬」では、Moominbaby(ムーミンベビー)に注目してみたいと思います。ベビーとファミリーアイテムに特化した、ムーミンの新しい取り組みのひとつで、キャッチコピーは「ムーミン谷のまあるい時間」です。

赤ちゃんムーミンが登場するエピソードは?
赤ちゃんムーミンの絵と穏やかな色合いが素敵なメインアートに使われているのは、コミックス『ムーミン谷への遠い道のり』のひとコマ。何度かブログでも触れていますが、なかなか衝撃的なお話なんです。
ひとりぼっちに耐えられなくなったムーミントロールが海で溺れようとしたとき、たまたま通りがかったのがボートに乗ったムーミンママとムーミンパパ。いなくなってしまった小さな息子のことを思い出してセンチメンタルになっていたふたりはムーミントロールをうちに連れて帰ります。この段階ではお互いに親子だとはまったく気づいていません(!)
ムーミンママが温かいジュースの入ったマグを差し出すと、ムーミントロールの脳裏に遠い子ども時代の記憶がよみがえり、離ればなれだった家族は感動の再会を果たしたのです。

赤ちゃん時代のムーミントロールの絵は、実はこの回想場面ぐらいしかありません。では、ムーミンのお話には他にどんな赤ちゃんや子どもが出てくるのか、探してみましょう。
クリップダッスは赤ちゃん?
コミックスに出てくる子どもといえば、『おかしなお客さん』のクリップダッス。
このシーンだとまるで赤ちゃんみたいですが、あまりのイタズラに手をやいたムーミンママとムーミンパパが冬の間ずっと冬眠してくれることを願って寝かしつけようとしているところです。
詳しくはこちらをどうぞ。

ムーミンパパの子ども時代
小説『ムーミンパパの思い出』で、ムーミンパパは自分の幼少期を振り返って、思い出の記を綴ります。
これはムーミンみなし子ホームにいた頃のムーミンパパ。大柄なヘムレンさんと並んでいるとはいえ、まだ小さな子どもであることがわかりますね。

リトルミイの誕生
同じく『ムーミンパパの思い出』のなかで、ムーミンパパやヨクサルたちは王さまの島で新しい生活を始めます。夏至が過ぎた頃、ミムラ(ママミムラ、ミムラ夫人)に末むすめがうまれ、「いちばん小さいもの」という意味のミイと名づけられました。
これはその小ささを表現した挿絵。もっとも物語の最後、年月を経てみんなが再会したときも彼女はちっとも大きくなってはいませんでした。

ロッドユールとスクルッタの子育て
こうして改めて探してみても、赤ちゃんが出てくるお話はあまり見当たりません。
コミックスにはロッドユールそっくりの息子クロットユールとスクルッタが赤ちゃんのお世話に奮闘する『Fuddler and married life』というラルス作のエピソードがあります。残念ながら日本語版は出ていませんが、子育てにまつわるドタバタがユーモラスに描写されています。

ちょっとレア(?)なホムサの赤ちゃん
小説では、短編「ぞっとする話」(『ムーミン谷の仲間たち』収録)にホムサの一家が登場します。
ホムサといえば、小説『ムーミン谷の夏まつり』でエンマの劇場に移り住むホムサ、『ムーミン谷の十一月』でムーミンやしきを訪ねてくるホムサ・トフト、『ムーミン谷の冬』や絵本『さびしがりやのクニット』など、何人もいますが、男の子や兄弟が多く、家族単位なのは珍しいケース(ちなみに「ぞっとする話」にはミムラ一族のおばあさんも出てきます)。
弟ホムサは旧版では「赤ちゃん」と訳されていた箇所が、新版では「ちび」と改訂されています。確かに、立って喋っているので、厳密には赤ちゃんではないのかもしれません。

子守をするヘムレンさん
短編「静かなのが好きなヘムレンさん」(『ムーミン谷の仲間たち』収録)のヘムレンさんは、騒がしいのが苦手なのに、親戚からいわれて遊園地で入場券にパチンパチンと穴を開けたり、夜は託児所で赤ちゃんの面倒をみたりしていました。赤ちゃんが目を覚まして泣きわめくと、手回しオルガンを鳴らしてあやします。

こちらはムーミンバレーパークのヘムレンさんの遊園地のモチーフにもなったお話。遊園地が大雨で流されてしまったあと、ヘムレンさんは自分の意志で子どもたちのために再建をめざしました。
スナフキンと森の子どもたち
子ども、子育てで思い浮かぶのは『ムーミン谷の夏まつり』。
自由きままに旅をして、何かに縛られるのが大嫌いなスナフキンは、公園にあったさまざまな楽しい事柄を禁止する立てふだが許せず、引っこ抜いてまわります。そこにいたのは迷子になったり、取り残されたりしてしまったママのいない森の子どもたち。すっかりスナフキンを慕って、離れようとしません。その数、なんと24人。慣れない子どもの世話に戸惑う、いつもとはちょっと違うスナフキンの一面を見ることができます。

また、このエピソードはアニメ『ムーミン谷のなかまたち』シーズン1の第7話「スナフキンと公園番」でも描かれています。子どもたちがとてもかわいらしいので、ぜひDVDや配信などでご覧になってみてください。

赤ちゃんから大人まで
今回ピックアップした原作をはじめ、ムーミンの物語はどんな年齢の方がお読みになっても、それぞれに楽しめるものばかり。小さなお子さん向けには、あいうえおが学べる『ムーミン谷のあいうえお』ほか、関連絵本もたくさん発売されています。『ムーミン ベビーダイアリー』やムーミンベビーでご紹介しているアイテムはギフトにもぴったり。今後さらなる展開をどうぞお楽しみに!
文/萩原まみ(text by Mami Hagiwara)